この度、ロンドンのAnnely Juda Fine Artにおきまして、ロシアの代表的な前衛芸術家、カシミール・マレーヴィチ(1879-1935)のドローイング20点と十五代樂直入の新作茶碗20点の展覧会が開催されます。本展では初代長次郎の黒樂茶碗の名品も1点併せ展示されます。
本展は、2021年9月から2022年1月まで開催された佐川美術館「十五代樂吉左衞門×マレーヴィチ」に続くもので、樂直入の作品としては英国で初公開となります。
マレーヴィチは、シュプレマティズムの先駆者として知られるロシアの前衛芸術家で、20世紀の抽象芸術とミニマリズムの発展に大きな影響を与えました。本展に出展されるドローイング作品について、マレーヴィチのカタログレゾネを編集者でもあるアンドレイ・ナーコフ氏はこう書いています。
「我々は作家の手と鉛筆に特に注意を払わなければならない。というのは、作家のコンセプトの野心に相応する形成上の効率の良さが、形像の明瞭な創出に求められているためである。***マレーヴィチの作例のどれをとっても、形象化された無対象の平面(シュプレマティズムのフォルム)は極めて力強い。簡素と精確でありながら、疑いもなく情念に満ちている」
一方、樂直入はマレーヴィチの作品からの影響について次のように述べています。
「***私とマレーヴィチとの出会いは、2015年に行われた、ロシア、サンクトペテルブルク・エルミタージュ美術館、およびモスクワ・プーシキン美術館で行われたRaku: The Cosmos In a Tea Bowl展の時である。同展は初代長次郎から16代吉左衞門の樂家各歴代170点あまりを網羅する大規模な展覧会であった。その時、ロシアで私がどうしても見たいと欲するものはただ一つ、Kazimir Malevichの1913年制作「黒の正方形」(トレチャコフ美術館蔵)であった。この黒く一応に塗られた正方形は、思想として私自身の中に根を下ろしてきた***」
本展は、Annely Juda Fine Art 代表であるDavid Juda氏と樂直入、樂扶二子ご夫妻との長い親交の中での語らいの賜物であります。
千利休が提唱した茶の湯、樂茶碗の歴史は日本文化・美術を象徴するものです。
これらと向き合い、現代に生きる作家としてこれまでにない前衛的な茶碗の制作に生涯をかけて取り組んできた直入氏の作品シリーズが、現代美術の先駆者として知られるマレーヴィチの作品と共に展観される貴重な機会であります。
皆様には先の佐川美術館での展覧会と併せて是非ともご高覧頂きたくご案内申し上げます。
本展覧会に合わせて、樂直入、アンドレイ・ナーコフ両氏によるエッセイを含む図版入りカタログも作成されます。
また、PDF形式でのデジタルカタログもございますので、ご希望の方、および展覧会の詳細につきましては水戸忠交易までお問い合わせ下さい。
会場:Annley Juda Fine Art 23 Dering Street, London W1S 1AW, London, U.K
会期:2022年5月12日 – 7月9日
お問い合わせ先:水戸忠交易 〒102-0094 東京都千代田区紀尾井町4-1
ホテルニューオータニロビー階 TEL 03-3239-0845 www.koheki.com
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